基本企画
システム開発プロジェクトにおいて一番最初の工程がこの基本企画です。
要求定義や要求分析などとも呼ばれます。
これから作成しようとしているシステムにどのような役割を果たして欲しいのか、それをクライアント(顧客)から聞き出し、提案し、まとめあげていくことを目的とする作業工程です。
システム開発は、顧客の方から我々に「こういったシステム」を作ってくれと依頼してくるケースはあまりありません。
中小企業や零細企業は特にそうです。
#大企業はまた別かもしれませんが。。
ですので仕事を得るために、「こういったシステムを作ればここが良くなる」などと営業に行くことになります。
その際に持ち込む企画書作成もこの基本企画工程に含まれます。
#以前、ITとはまったく無縁と思える神社に行き、神主さんにまで営業したことがあります。
#その営業は残念ながら報われませんでしたが、報われたらいったいどんなことになったのでしょう。。
#まあ、そこはITが踏み入れてはいけない領域なのかもしれません。。
クライアントが求めているシステム像はいったい何であるのか。
それを明確にするのが基本企画なわけですが、クライアントの思い描いているシステム像はかなり曖昧であり、矛盾が含まれています。
言うまでもありませんが、初めの工程である基本企画がぶれると、当然その後の工程もぶれていきます。
システムエンジニアは、そういった曖昧さや矛盾点にこの工程で気づいてやり、正しい方向へ導いてやらねばなりません。
気づくのが遅れれば遅れる程、当然その分の負担は増えます。
すると、当初のスケジュールでは間に合わなくなり、見積もりの金額も合わなくなります。
その合わなくなった金額をどうやって埋めるのか、誰がその負担を負うのか、そういったことで、もめることは本当によくあります。
以前、クライアントに「このくらい作っていくうちに気づいてよ」と言われたことがあります。
しかし、すぐに気づきそうなことでも、下流工程になればなるほど、仕様について考えることをおざなりにされてしまいます。
システム開発は下流工程に行くほど開発に携わる人間が増えていきます。
そして後から加わったメンバーは、自分が携わる部分だけの仕様を理解し、他の部分には注意深く目を向けようとしません。
すると作業途中に仕様について違和感を感じても、「この矛盾は誰かが整合させていくのだろう」と自分に都合の良い解釈をしてしまうのです。
結果、完成したモジュールを結合させてシステムを動かしたとき、「これはおかしい」とようやく気がつくわけです。
基本企画の段階では当然システムは出来上がっておらず動かしながら確認するということができません。
ですので、頭の中でシステムを動かして、曖昧な部分や矛盾点を改善し、一貫性のあるシステム像を描かないといけません。
それは、職人芸の域に達する大変難解なことだと私は思います。
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